落ちないものたち
ふつう、ものは下に落ちます。ところがちょっとしたしくみで落ちないことも。なぜだろう?
○メダルが落ちない
銅パイプの中に強い磁石を落下させると、磁石がゆらゆらとゆっくり落ちていきます。
タネもしかけもこれだけです。

各テーブルでためしましたが、やっぱり不思議です。

磁石は2つつないで強い磁石にしたほうが、よりゆっくり落下することもわかりました。
この理由は中学校3年生で習いますが、
磁石が落下している間、銅パイプには電流が生じていること、
これが発電のしくみと同じであることなど、簡単に説明しました。

○ボールや風船が落ちない
ストローで発泡スチロールの玉を吹くと、空中にとどまります。
上手に吹くと長い間落ちません。
送風機を上に向けて風をおこし、大きな玉やゴム風船を浮かべることもできました。
グループで風の強さを調節して、たくさんの風船を浮かべるようにがんばりました。

空気の流れが速いところはおそいところより圧力が低くなり、風船などの物体がまわりの空気に囲まれたようになり、より浮かびやすくなります。
これをベルヌーイの定理といいます。

○シャボン玉が落ちない
空気や二酸化炭素でつくったシャボン玉は、その重みで下に落ちていきます。

うすい塩酸とマグネシウムで水素を発生させ、それでシャボン玉をつくると上にあがっていきました。

水素は最も軽い物質なので、シャボン玉の膜の重みもいっしょに上にもちあげていくことができます。

○ゴミ袋も落ちない
ゴミ袋にメタノールをしみこませた脱脂綿をとりつけ、簡単な熱気球にしました。炎がつくる暖かい空気が袋にたまり、浮かび上がります。

参加者の大勢いる教室の気温があがっており、袋の中の暖気との温度差があまり大きくなく、なかなか上がりませんでしたが、涼しいホールで、ガスライターも手伝って暖気をたくわえると、熱気球が天井まで浮かび上がり、拍手がおきました。

○コップの水も落ちない
最後はコップの中の水が落ちない例を2種類紹介しました。
ひとつは水で満たしたコップを、はがきなどの厚紙でおさえ、ひっくりかえしてはがきから手を離しても水が落ちないというものです。

これははがきにかかる大気圧が、水の重みを支えているからですが、各自やってみて、できるとうれしそうでした。
  
もうひとつはコップに網をはって、水中から引き出すと、コップの水がそのまま持ち上げられ、落ちてこないというものです。

網の目ではたらく水の表面張力が、水の落下をくいとめているからですが、これも自分でやってみてできたらうれしく、それでも不思議な実験でした。

毎年4月は新しい参加者を加えるので、比較的簡単な内容の実験を用意しています。
今回は「落ちない」という共通点でさまざまな実験を集めてみました。
電磁誘導・ベルヌーイの定理・気体の密度・熱膨張・大気圧・表面張力などによって重力にさからう現象について、参加者たちは楽しく取り組み、科学の不思議さとおもしろさを感じたかと思います。