銅から銀?、銀から金?!
その昔、錬金術師(れんきんじゅつし)もやっていた不思議な術。銅が銀にかわり、銀が金にかわります。さあ、なんでだろう
○銅を銀にする?
500年ほどむかし、錬金術師と呼ばれる人たちが、金でないものから金を作り出そうとさまざまな実験をしていました。
今では錬金術で金をつくることはできないとされていますが、錬金術師たちの実験方法や実験装置のいくつかは、今の化学実験に活かされています。
今回は銅を“銀” や“金”にしてみます。
まず銅線を短く切り、水酸化ナトリウム水溶液と亜鉛の入ったビーカーに入れ、ガスバーナーで加熱し、反応を待ちます。
参加者もガスバーナーの使い方にだいぶ慣れてきたようすで、落ち着いて実験に取りかかれました。
待っている間、ちょうどこの日の晩に起こる皆既月食について説明しました。
参加者の中にも月食の日だと知っている人もいました。
月がかけ始める時刻や観察上の注意などを聞き、久しぶりの天体現象を楽しみにしているようでした。
説明が終わるころにはビーカーに入れた銅線がきれいな銀色になっていました。
薬品が手につかないよう慎重にビーカーから取り出し、水洗いして“銀”をとりだしました。

○銀を金にかえる?
次は作った“銀”を“金”にかえます。
ピンセットでガスバーナーの炎であぶると、みるみる金色に変わり歓声があがりました。
できたての金色の輝きは、その美しさに見とれてしまうほどです。
最近の相場では銅は1gあたり0.65円、銀は88円、金なら4,600円だそうです。
もとの銅の値打ちが約7,000倍の金に変わったとしたら、すぐに大金持ちになれる?!
参加者は半信半疑ながらうれしそうです。
でも、これが500年前ならともかく、今の時代では、そんなうまい話はありません。

○メッキと合金
ここで今回の錬金術のたねあかし。銅・“銀”・“金”の切り口をよく見てみると、どれも銅の色をしています。
銅線の表面だけが銀色や金色になっているのです。
まず銀色になったのは、水酸化ナトリウム水溶液に溶けだした亜鉛が、銅の表面についたためです。
金属がものの表面を覆うことを「メッキ」と言いますが、これは銅を亜鉛でメッキしたことになります。
銅の亜鉛メッキは銅の腐食防止などによく使われています。
 亜鉛メッキした銅をあぶると、表面の亜鉛と銅が溶けあって、「合金」をつくります。
銅と亜鉛の合金を真鍮(しんちゅう)といい、美しい金色をしています。
真鍮も加工しやすい金属材料として、むかしから知られています。

○クリスマスのかざりをつくろう
金色、銀色の変化について理解したうえで、各自残った銅線を加工し、クリスマスのかざりなどをつくることにしました。
みんな工夫をこらして銅線を亜鉛メッキしたり、火であぶって真鍮にして、ペンチでまげて形をつくっていきました。
できあがったものはクリスマスツリーにとりつけてみました。

さまざまな化学変化のうちメッキと合金をとりあげ、参加者には2段階のおどろきを味わってもらい、科学的なしくみの理解を促しました。
メッキも合金も現代社会を支える技術ですが、錬金術師の技として追実験することで、興味をもってもらえればと思います。