電気と電流と電圧と電子
いつも身近にあって役立っている「電気」のことについて、いろいろな実験をとおして考えてみよう。
○静電気であそぼう
まずはじめに空気が乾燥している季節にうってつけの静電気あそびから始めました。
@ティッシュペーパーでつくった人形を立ち上がらせよう
実験机にあるものなら何でも使ってよいので、参加者はしばらく試行錯誤を重ねました。

そのうちプラスチックのパイプを服やティッシュペーパーでこすって摩擦電気(静電気)を起こして紙人形を立ち上がらせました。
静電気は種類の違う物質をこすりあわせることで生じます。

また水分を含むものは電気を逃がしてしまうので、ぬれたものや肌では難しいこともわかりました。

A荷作りひもの片方を結んで、細かくさいたものを作り、これを空中にうかべよう
全国的に有名な“電気クラゲ”です。参加者が熱心に作っている間、とても静かでした。

電気クラゲとパイプをこすって両方に静電気を帯びさせると、クラゲをパイプで宙に浮かせることができます。
何度も繰り返しているうちに、こつがつかめてだんだんできるようになりました。

Bバンデグラーフ起電機に蛍光灯を近づけてみよう
この装置は機械的に摩擦電気を発生させる装置で、強い静電気が生じます。

これに蛍光灯を近づけると、かすかに点滅しました。
近寄ると軽く感電するので、参加者もこわごわ近づきます。
長い荷造りひもをとりつけると、“電気イソギンチャク”となり、触手に触れると電流が走り、その分触手の元気がなくなります。

まるで生きもののようです。いつまでも飽きずに遊べそうでした。

○はじまりはカエルから
今から200年あまり前、イタリアのガルバーニという人が、金属がふれるとカエルの足が動くことを発見しました。

これがきっかけで電池がつくられ、電池によって電流や電圧の研究が本格的にできるようになりました。今回は金属版と食塩水で電池をつくることに挑戦しました。
○金属の板(銅・鉄・アルミニウムの3種類、それぞれ2枚ずつ)と食塩水のビーカー、導線(2本)を使って、電池をつくろう(電流が流れると、電流計の針がふれる)
これもしばらく時間をとり、テーブル単位で取り組みました。金属版を直列につないでみたり、重ねてみたり、しばらくすると金属版を食塩水に入れて電流計の針が振れることを発見するグループが出てきました。
他のグループも実験するなか、同じ金属同士では電流が生じないこともわかってきました。
中には銅・鉄・アルミニウムを+極、−極につなぐ組み合わせ、全9とおりを試したグループもありました。すばらしい!
ガルバーニが偶然、鉄と真鍮でカエルに触れたことを紹介し、種類の違う金属と食塩水で電池ができることを確認しました。

また、参加者が持ってきた現在の乾電池は、2種類の金属と間の液体が液漏れしないように作られていることなども説明しました。

○乾電池と発電機
電池によって安定した電流で、電磁気の研究も進みました。
@電池とくぎ、磁石、電線(1本)を使って、電流で回転するもの(モーター)をつくろう
ここでもしばらく時間をとり、参加者一人ひとりモーターづくりに挑戦しました。

磁石とくぎをくっつけて乾電池の+極にぶらさげ、−極からの電線を、くぎの磁石に近い部分に触れさせると、くぎと磁石がゆっくり回転をはじめます。
電流と磁石のはたらきをうまく組み合わせると、力が発生する原点がここにあります。

A電流が流れて力がつくりだせる。では、力をはたらかせて電流を流してみよう
手回し発電機を使って電流をおこし、発光ダイオードを光らせたり、電子オルゴールを鳴らしました。またペルチェ素子で熱や冷たさをつくりだしてみました。

○これが電気の正体だ!
誘導コイルは大きい電圧(数万ボルト)を作り出すことができます。最後にこれを使って、電流の正体を解説します。
まず数万ボルトの電圧では、5cmほどの空気中を電流が走り、小さな雷のように見えました。

空気を抜いたガラス管(放電管)の中では、電流がまっすぐ飛んでいること、そこに磁石を近づけると力を受けて曲がること、羽根車を回すことから重み(質量)もった小さな粒が流れていることなどを簡単に説明しました。

この電気の正体を「電子」といいます。

科学実験室の水槽には8年ほど前からアフリカツメガエルというカエルがいます。このカエルからガルバーニの実験、そこからはじまる電流・電圧、電磁気、電子の科学史をたどる構成を考えました。また、参加者が考えながら手を動かして実験することで答を見いだす場面をいくつも用意しました。ガルバーニの時代から、多くの研究者たちがさまざまな実験を行って電流や電磁気、電子を解明し、それらの応用によって電気に支えられた豊かな社会になっていることを、実感してもらえたかと思います。