V 学校園教育

1.平成16年度市立幼・小・中学校園に対する指導事項
 教育委員会は、毎年度当初、市立幼・小・中学校園に対し、学校園教育の一層の充実・発展を期すため、学校園全般にわたって指導事項を明らかにしている。

学校園教育及び学校園管理について

は  じ  め  に

 新学習指導要領が全面実施されてから2年、幼稚園教育要領が実施されて4年が経過するなかで、各学校園では幼児・児童・生徒一人ひとりに「生きる力」を育成する教育が展開されているところである。その取組の柱は、基礎・基本の定着、個に応じた指導方法の工夫改善、目標に準拠した評価の導入、「総合的な学習の時間」の完全実施、開かれた学校づくりの推進等である。これらのことは一体のものとして進められており、園児・児童・生徒にとって新しい時代を生き抜く力を育む上で極めて大切であるといえる。
 一方で昨今の子どもたちの状況については、学力問題を中心にマスコミ等においてもさまざまな論議が行われており、現在の教育改革がめざしている方向や内容について少なからず不安や懸念を抱いている保護者も多い。また、昨年10月には、中央教育審議会から「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について(答申)」が出された。これを踏まえて12月には学習指導要領の一部改正が行われ、そのなかで次の3点が示された。
 @ 学習指導要領の基準性を踏まえた指導の一層の充実 
 A 総合的な学習の時間の一層の充実 
 B 個に応じた指導の一層の充実
 さらに関連する事項として、@教育課程を適切に実施するために必要な指導時間数の確保、A入学選抜における取扱いの2点が示されたところである。
 各学校園は、今日の学校園教育に何が求められているかについて改めて考えることが必要であり、地域の実情に応じて子どもたち一人ひとりにどのような力をつけていくかを具体化し、課題を明確にした特色ある教育活動の充実を図ることが重要である。また、保護者や地域住民等に対しては、今まで積み重ねてきた実績、子どもたちに育ちつつある力も示しながらていねいに説明するとともに、保護者や地域住民等の意向を把握し学校運営に反映させることによって開かれた学校づくりを一層推進しなければならない。
 本「指導事項」では、本市教育に関する教育委員会の考え方を示している。
 各学校園においては、「指導事項」を踏まえ、校園長の強いリーダーシップのもと、授業改革、学校園改革、学校園・家庭・地域社会の協働などの課題に対し、創意工夫した特色ある取組を展開し、市民から信頼される学校園づくりに努めるよう望むものである。
<平成16年度 重点目標>
1 基礎・基本の確実な定着と、自ら考え、判断し、行動する力の育成
2 地域に開かれた特色ある学校園づくり
3 人権を尊重する教育の推進
4 学校園と家庭・地域の連携による「総合的な教育力」の再構築
5 教職員の資質向上
1 基礎・基本の確実な定着と、自ら考え、判断し、行動する力の育成
  各学校では基礎・基本の確実な定着を図り、児童・生徒一人ひとりが、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し行
 動する能力や、自らを律し他人を思いやる心等、豊かな人間性と「生きる力」を身に付けることができるよう創意
 工夫を生かした教育活動を展開すること。
2 地域に開かれた特色ある学校園づくり
  幼児・児童・生徒の実態や地域の実情に応じ、自主的・自律的に特色ある学校づくりを推進するとともに、校園
 長のリーダーシップのもと、組織的・機動的な学校園運営に努めること。
3 人権を尊重する教育の推進
  人権及び人権問題を正しく理解し、豊かな人権感覚を持ち、さまざまな人権問題の解決に向けて主体的に行動
 できる幼児・児童・生徒の育成を目指して、すべての教職員が一致協力し、全教育活動を通じて人権教育を推進
 すること。
4 学校園と家庭・地域の連携による「総合的な教育力」の再構築
  地域社会の共有財産である学校を核とし、さまざまな人々が子どもの教育のために協働できるよう、学校園と
 家庭・地域社会が連携して「総合的教育力活性化事業」を推進し、各中学校区で「地域教育協議会」の活動を
 充実させること。また、事業が終了した中学校区においては、これまでの活動成果を中学校区青少年健全育成
 運動協議会の活動の中で継続、発展させること。
5 教職員の資質向上
  すべての教職員が法令の遵守など教育公務員としての自覚を高めるとともに、学校園組織の一員として個性
 や能力を 活かして協力し合い、園児・児童・生徒や保護者に信頼される魅力ある教育活動を展開すること。
   ひとたび教職員による不祥事が起きると、それまでに積み上げてきた学校園への期待と信頼がたちまち崩れ
 ることから、教職員の問題行動に対する社会的な批判を真摯に受け止め、校園内研修を充実させ、教職員の資
 質向上を図ること。
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