１．茨木市教育研究所　

　教育研究所は、市民総合センター（クリエイトセンター）の３・４階、および教育委員会分室１〜３階でおもな業務を行っている。教職員研修事業施設として、市民総合センターに視聴覚資料室、カリキュラム資料室、科学実験室、教育工学室があり、教育相談関係事業施設として、教育相談室２室、箱庭室、電話教育相談室、言語障害児教育相談室２室、プレイ室２室がある。また教育委員会分室には、発達相談室３室、不登校相談室、不登校支援センター事務室、適応指導教室“ふれあいルーム” などがある。

(1)調査研究　

�@	平成17年度は、テーマを「情報化社会の中の子どもたち」とし、〔子どもの生活面、子どもの学習面〕を柱にアンケートを構成し、実態を調べた。結果については、研究紀要第184号にまとめている。
�A	平成18年度は、「学校教育の情報化と子どもたち」をテーマに研究を進めている。 調査結果等については、年度末に研究紀要として発行の予定である。

(2)教材開発
　教材開発の組織として、市立小・中学校の教諭を研究所員として委嘱し、教育研究所担当員とともに、新教育課程に適応した研究の推進を行っている。

�@ 情報教育…新しいコンピュータや校内LANの授業利用についての実践的研究 �A 理科教育…デジタル教材を活用した理科教育の授業実践研究 �B 言語教育…小学校英語活動の教材開発と、英語教育における小・中連携の取組 �C 特別支援教育…LD、ADHD等についての研究

(3)教職員の研修
　教職員研修としては、校長、教頭を対象とした、特別支援教育及び情報教育に関する研修会や、教職員を対象とした、特別支援教育、養護教育、情報教育、科学教育、言語教育、視聴覚教育、男女共同参画社会教育、環境教育、福祉教育、道徳教育、学校図書館教育、生徒指導、教育相談、カウンセリング実技等の研修会を実施している。
◆カリキュラム資料室
　教育研究所では、市立幼・小・中学校の教職員を対象にして、全国各地から届く研究紀要や特別支援教育、および学校教育相談等の教育課程上の諸課題に対する専門書や研究所が保有する視聴覚教材等を提供するため、平成18年7月よりクリエイトセンター４階４０１号室にカリキュラム資料室を開設いた。

(4)教職員対象の悩み相談　
　教育現場には、いじめ・不登校をはじめ、生徒指導や学級経営などさまざまな問題があり、教職員の中には児童・生徒や保護者との関係などで、悩みをかかえているものもいる。こうした教職員の相談窓口として、「教職員対象の悩み相談」を開設し、電話による相談と直接面接による相談に応じている。これまでに、不登校の問題、学級経営や保護者との関係での悩みなどが寄せられている。また、学校と地域とのよりよい関係を築くための積極的な相談も寄せられている。
　電話番号　…　６２５−７８３０
　相談日時　…　月〜金曜日午前８時45分〜午後５時

(5)言語障害児教育相談指導　
　構音障害、吃音、ことばの遅れなど、ことばに関する相談・指導を行っている。幼児を対象に、決まった曜日・時間に保護者同伴で来所してもらい、４５分程度の指導を行っている。相談の受付は保護者からの申し込みによる。
　予約申し込み
　　電話番号　…　６２６−４４００（教育研究所）
　　相談日時　…　月〜金曜日午前８時45分〜午後５時

(6)教育相談　
　人間関係や学習面等で不安や悩みを抱える子どもたちを援助するため、当所では子どもたちの心豊かな成長を願って教育相談事業を行っている。子どもたちの抱える問題は、不登校（園）・いじめ・情緒不安・暴力・心身の不調など多岐にわたり、しかも年々複雑化している。それに伴い、学校・園とは違った角度から、子どもひとりひとりに対応する、「教育相談」への関心も高まってきている。

�@	面接相談 　不登校（園）、対人関係、原因不明の心身の不調などの「こころの悩み」に、臨床心理専門の相談員が面接を行っている。 　子どもの状態に応じて、カウンセリングや遊戯療法、箱庭療法などを行いながら、その子どもが本当に安心して、自分らしくいられるようになるまで、子どものこころに寄り添い、問題解決への歩みを支援している。必要に応じて、保護者の面談や学校との連携を図り、その子どもに適した対応を目指している。なお、相談は１回50分、予約制になっている。 　　 電話による予約申し込み電話番号　…　６２６−４４００（教育研究所) 　　　相談日時　…　月〜金曜日午前８時45分〜午後５時

　　

�A	発達相談 　発達の遅れ・広汎性発達障害・ＬＤ・ＡＤＨＤなどのある児童・生徒やその保護者に対して、面接相談窓口（予約制）を開設し、学習・生活・進学などについて、アドバイスを行っている。 　　　電話による予約申し込み電話番号　…　６２６−４４００（教育研究所) 　　　相談日時　…　月〜金曜日午前８時45分〜午後５時

�B	電話教育相談 　電話相談では、幼児、小学生、中学生、高校生と、その家族が抱える悩みの相談に応じており、学業のこと、進路のこと、友達のこと、自分のこと、家族のこと等の悩みが寄せられている。 　不登校に関する相談が年々増えており、小学生から中学生へと長期化する傾向にある。保護者の教育上の悩みは、社会の進展に伴い問題が複雑化していて、容易に解決が見いだせない場合もある。電話相談では、相談者の教育上の悩みについて、じっくり時間をかけて傾聴し、悩みや不安な気持ちが少しずつ薄らいでいけるよう援助している。 　　　電話番号　…　６２５−７８３０ 　　　相談日時　…　月〜金曜日午前８時45分〜午後５時

�C	「いじめ」ホッと電話相談 　「いじめ」ホッと電話相談では、誰でも気軽に利用できるよう専用電話に加えて、フリーダイヤルも設置している。 　また、「いじめ」ホッと電話相談の周知徹底を図るため、年度始めに、市立小・中学校全児童・生徒に電話番号を記入したカードを配布している。 　嫌がらせ・友人関係のトラブル・仲間外れ等の相談が多くある。 　　　電話番号 　…　６２７−５５１１（フリーダイヤル０１２０−１４７９７０） 　　　相談日時 　… 月〜金曜日午前８時45分〜午後５時

(7) 不登校支援センターの活動
　小・中学生の不登校の数は、平成１３年度以降から数パーセントずつ減少しつつあるものの、依然深刻な状況である。また、その原因を特定することも困難になっている。
　不登校支援センターは、不登校問題に関わっての総合相談窓口として、本人・保護者・学校教職員等に、幅広く対応している。

◆

ふれあいルーム 　心理的・情緒的な原因で不登校の状態にある児童・生徒に対して、精神的な自立・学校復帰を支援するために、適応指導教室『ふれあいルーム』を平成７年度に設置した。初年度は、本研究所の科学実験室・教育工学室などが活動の主たる場であった。平成８年度から、クリエイトセンター４０１号室をホームルームとして使用することが可能となり、それに伴って、活動に必要な備品の充実に努める等、条件整備を進めてきた。そして、平成１７年度から、教育委員会分室（養精中学校横）に不登校支援センターの事務室を開室したことにより、『ふれあいルーム』の活動の拠点もそこに移した。学校と家庭の中間的な「心の居場所」として、幅広い活動を行っている。

・開設日	月曜日〜金曜日　午前１０時〜午後３時	月・火・木・金の時程 　 月 火 木 金 10:00 開室・フリータイム 10:30 教科学習 教科学習 教科学習 教科学習 11:10 休憩 11:20 自主学習 自主学習 自主学習 自主学習 12:00 昼食・フリータイム 13:20 総合学習 総合学習 総合学習 総合学習 14:00 集団ｽﾎﾟｰﾂ 個人ｽﾎﾟｰﾂ 個人ｽﾎﾟｰﾂ 集団ｽﾎﾟｰﾂ 15:00 閉室
・活動内容	（教科学習） 　自主学習は決められた教科をそれぞれの目標に合わせて学習している。 （総合学習） 　児童・生徒の興味に合わせて幅広く学習を進めている。 （チャレンジデー） 　水曜日はチャレンジデーとして、入級生は学校へ登校することを目指している。訪問指導を受けている児童・生徒は、ふれあいルームにチャレンジする。 （やってみよう！キャンプ） 　市内の小学校４年生以上の不登校またはその傾向にある児童・生徒を対象とした「やってみよう！キャンプ」を、８月に青少年野外活動センターで実施している。このキャンプの特性は、教育相談の専門家の助言をもとに、キャンプカウンセラーが子どもたちによりそい、生活をともにし、子ども自身が活動内容を決定し行うところに意義がある。豊かな自然の中で、自己の可能性の伸長と自己実現に向けての力を培っていく取り組みを行っている。

◆	不登校学生ボランティアの派遣 ・シャトルスタッフ 　外出できない状態の子どもに対して、学校と連携のもと、学生スタッフ（シャトルスタッフ）が定期的に家庭訪問をし、相談支援を行っている。 ・ ふれあいフレンド 　別室登校児童生徒に関わり、学生スタッフ（ふれあいフレンド）が、教室復帰支援を目標に活動している。

(8) 情報教育　
　平成10年10月より、茨木市の小・中学校は教育研究所サーバセンターを経由してインターネットに接続しているが、平成15年度に通信回線の光ファイバー化、平成16年度に中学校校内LAN整備、17年度小学校校内LAN整備により、普通教室や特別教室のどこからでも高速でインターネット接続できるようになった。
　また、市内学校間教育用イントラネット「茨木市教育情報ネットワーク」を構築し、教育関連資料や学習用デジタル教材の利用、学校図書室蔵書の検索などが行えるようになり、児童・生徒の学習や教員の教材活動に活用されている。市内教員による教育用デジタルコンテンツの開発や既存資料のデジタル化を図っており、茨木の学校教育に特化した教育用データベースの構築と運用も始めている。平成18年夏には、教育研究所の基幹サーバ群を更新して、増加するネットワークの教育利用に対応している。
　コンピュータを操作できる教員、コンピュータを使った授業ができる教員の割合は、年々上昇しており、本格的な情報機器環境を利用した授業やさまざまな教育活動の実践や、教育事務のIT化研究など、学校全体の情報化をめざして、今年度も各種研修会の実施、情報教育ボランティアの活動、ICT活用モデル事業などを展開している。
　なお通信の高速化や機材の高性能化に備え、ウィルスや有害情報に対するセキュリティを向上させるとともに、教員にむけてネットワークの利用に関するモラルについて周知し、児童・生徒の指導に広めていくことで、情報教育の進展を図っている。


　(9) 科学教室　
　平成４年９月より科学実験室にて、実験・観察・理科工作を主体としたテーマを毎回設定し、自然科学の不思議さ、おもしろさを体験できるよう、「第２土曜科学教室」を開催している。
　・対象　　　市内の小学３年〜６年生（定員35〜40名）
　・実施日　　８月を除く毎月の第２土曜日午前10時〜11時30分
　・費用　　　無料（実験材料や工作道具は持参してもらうことがある。）
　・申し込み　平日の毎月初日午前９時〜午後５時、電話にて申し込み（072-626-4400）
   　＜詳しくは「第２土曜科学教室」Webページへ＞

　また例年、夏休みの日曜日に、３年生以上の小学生とその保護者の参加による「子どもと保護者の科学教室」も開催している。