茨木市内の河川水のCOD測定

1.研究の動機

 科学部で身のまわりの環境問題について取り組む上で、茨木市内を流れる川についても調べてみたいと思いました。茨木市内には安威川、音羽川、佐保川・茨木川、勝尾寺川などいくつもの川が合流しあって流れています。そこで水の汚染の度合いを示すひとつ、COD(化学的酸素要求量)を測定してみました。

 水の汚れにもいろいろなはかり方がありますが、水に溶けている有機物の多い少ないはよく用いられる尺度です。この水中の有機物を薬品(例えば過マンガン酸カリウム)で酸化させるとき、どれだけの薬品が使われたかによって有機物の濃さを調べる方法で行いました。これが化学的酸素要求量(COD)をもとめるということです。

2.測定日と測定場所

1998年7月27日(月)午後 天候:晴れ

1999年7月30日(金)午後 天候:晴れ

測定場所は下の図中の○印、合計16カ所

 

 

3.準 備 物

ポリ容器 硫酸(6M) 過マンガン酸カリウム(0.005M)  ガスバーナー ビーカー 試験管 簡易比色計(自作) パソコンと専用ソフト

4.方   法

@河川水の採取

ポリ容器を持って、茨木市各所の川の水をくんできます。

ポリ容器はその川の水でよく洗ってから採取します。自動車で半日がかりで集めました。

A有機物を含んだ川の水に過マンガン酸カリウム(赤紫色)と硫酸を加える。

これを湯煎で加熱し、30分反応させる。

    

→過マンガン酸カリウムが有機物を分解するのに使われ色がうすくなる。はじめに有機物が多いほど過マンガン酸カリウムがたくさん使われて、色がよりうすくなる。

Bこのときの反応前と反応後の赤紫色の濃さを比色計でくらべ、

 とけていた有機物の濃度をppmの単位で算出する。

魚が住める水質は5ppm以下といわれています。

5.結   果 (COD:単位ppm)

1998年7月27日(月)午後 天候:晴れ

 

 

1999年7月30日(金)午後 天候:晴れ

 

 

6.考   察

 だいたいにおいて、2回の測定結果は似ているものと思われます。これらをもとに茨木市内を流れる川の汚れについて考えました。

 茨木市内の川のうち、安威川上流、下音羽川、佐保川は山間部を流れ、流れの速さも速く水質はきれいです。水を汚す有機物が少なく、それを分解するのに必要な酸素もせせらぎでよく補給されており、CODは低くなっていると考えられます。これに対して、勝尾寺川は箕面市内から平野部を通ってきているので、CODが高くなっています。これは流れの速さが遅く取り込まれる酸素が少なく、生活排水などの有機物が多く流れ込んでもあまり分解されずにいるからだと考えられます。佐保川に勝尾寺川が合流して茨木川となるあたりも、ゆるやかに流れていて水が汚れています。(しかし、魚や水棲昆虫はけっこういます。)

 ふたつの川が合流すると、合流後のCOD値は上流のCOD値の間の値になっているようです。これは汚れた水にきれいな水がまざりあって、すこし汚れがうすくなるからだと思いました。
 同じ安威川でも、茨木市北部では清流なのに、茨木市南部ではゆったりと流れ、一番南側ではよどんでいるところもあります。山間部ではきれいな水も、人が多くすんでいる平野部で流速が遅くなり、生活排水が増えて、どんどん水質が悪化していくことがよくわかりました。今後は水質の変化とその付近のようすとの関係を調べてみたいと思いました。また、そこに住む川の生物の観察もやってみたいと思いました。

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