第33回全日本中学校陸上競技選手権大会
            (8/18〜21香川県丸亀)RESULTS



<東雲中競技結果>
 ○女子200m 北村なつき 予選了組 26秒61(−0.6)5位
                   予選敗退
 ○ 女子4×100mR(藤本智子・北村なつき・中野未来・久貝 瞳)
           予選1組 50秒24 2位 準決勝進出
           (藤本智子・北村なつき・中野未来・久貝 瞳)
           準決勝2組 50秒79 5位 準決勝敗退



<大会日記>

○18日の昼前に会場である丸亀陸上競技場に到着。この競技場は10年くらい前にインターハイの会場となっただけに、設備もよく整った、メインスタンドも4階建ての立派な競技場である。
  さっそく、調整練習を開始する。夕一タンの走路はやや硬く、反発をもらいやすい分、スプリント種目で好記録が期待できる。しかし、体に対する負担も大きくなるので、特に本数を多く走らなければならない選手にとっては注意が必要である。大会日程は初日にTの200mの予選と準決勝、そしてリレーの予選、2日目に200mの決勝とリレーの準決勝、3日目のファイナルにリレーの決勝となる。去年、準決勝で持てる力を発揮できずに敗退したリレーのりベンジを果たすために、もう一度この大舞台にやってきたのだという決意を持って臨んだ今大会。
 さっそくこの日の夜のミーティングでは、行き帰りのタクシーの中ではしやぎすぎであるというきぴしい指摘をした。全国大会に来て舞い上がる気持ちをいましめなければ、去年の二の舞になる。きびしい練習をのりこえ、大阪大会の激戦を勝ち抜いたご褒美に旅行しているのではない。全国の舞台で勝つためにやってきたのである。東雪中女子リレーチームの記録49秒75は全出場チームの中でランキング5位である。気のゆるみが一番の敵である。



○3時から競技場隣の丸亀市民体育館で開会式。陸上競技の全国大会は、各種目標準記録を突破した選手が参加して行われるが、リレー種目だけは各部道府県の大会で優勝したチームだけが参加することになる。(標準記録制だけに、参加人数にはばらつきがある。一番多いのが兵庫県の94名、以下、静岡県79名、埼玉県68名、神奈川県65名、干葉県59名と続いて6位に大阪府の52名となっている。一番少ない県で13名である。)この開会式には、大阪の代表選手団として、男女リレーの優勝チーム12名が参加することになっている。
  地元中学生の見事な司会ぷりが印象的で、さすがは全国大会という雰囲気であった。東雲の6名の選手も身が引き締まる思いになったようで、晴々とした表情になった。人なつっこいKは、広島の選手と友達になったようである。(そういえば、去年は沖縄の那覇中学の選手と交流を深めていた)気軽に声をかけるには、大阪弁はとても便利な言葉らしい。



○大会初日。9時30分からの女子200mの予選に出場するKの起床時間は4時40分。5時15分には散歩に出る。6時の朝食パイキングには一番乗り。嬉しそうに自分の好物をチョイスする。付き添いのリレーの補欠のTとYといっしょに「いただきます」見事な食ぺっぷりに安心する。
  6時45分、タクシーに乗って宿舎を出発。了時10分過ぎに競技場に到着した。
  9時30分競技開始。気温は早くも34.5度。台風通過の影響もあって、かなり蒸し暑くホームストレートには2〜3m近い向かい風が常に吹いている。直射日光も強<、ジリジリと肌を突き刺すように痛い。ウオーミングアップ場はことさらに暑く感じられた。アップでは、珍しくKがバテたようで、時折肩で息するしぐさが気になった。
  予選7組6レーンにKが登場する。スタート前に両足でぴょんぴょんと飛び跳ねながら、リラックスするいつものしぐさで、すぐにスタンドからでもKを見つけることができた。「位置について」のコールで、見ている方も胸が締めつけられる。この200mは全部で9組あって、各組2着までと、それ以外の選手の中から記録上位者6名が準決勝に進出することになる。
  「ホームストレートでは向かい風が強いが、とにかく前半からガンガン行こう!着どりのことは意識せずに、自分の最高の走りをして自己新を予選から狙っていこう」と声をかけた。
  ピストルが鳴り、Kはきれいなスタート。第二曲走路のカーブを勢いよ<飛び出した。カーブの出□では2番手あたり。しかし、接戦である。150mあたりで、Kの首が少し横に振れた。軸が少しぷれる前兆である。そのあとから少しずつ遅れだし、5着26秒61でフィニッシュ。
  これまでのKのベストは25秒92.悪いコンディションの中とはいえ、悔いの残る結果となった。結局大阪の誇る25秒台の3人の選手がそろって、予選敗退となった。さすがに全国の壁は厚い。きびしい滑り出しとなった。



○いよいよリレーの予選を迎える。1時30分過ぎにアップ開始。直接アップ場には行かず、スタンド下の陰の部分でアップの前半をおこなった。JOGの後に入念なストレッチを行い、股関節の動きを意識した簡単なドリルをおこなう。そのあと、ウオーミングアップ場のサブトラックヘ移動する。サブトラックでは、すでに各都道府県の代表チームが誇らしげに練習をしていた。
  そろいのTシャツに身を固め、寸分違わぬ動きと迫力のある声、真っ黒に日焼けした顔で目がきらきらと輝いていた。先の合宿で聞いた「気力は目に出る。 生活は顔に出る。教養は言葉に出る。」という言葉を思い出した。
  東雲チームも見事なバトンワークを見せてはいるが、暑さも手伝ってかその場の気迫の主役になるまでには至らなかった。3時。女子4×1 0 0 mRの予選が始まった。6組3着プラス6で準決勝に進出できる。
  予選1組3レーンに登場。同じ組に49秒87の記録を持つ鹿児島の帖佐中学が9レーン。悪くても2着に入って準決勝に進出したい。号砲一発きれいなスタート。1走のHは全国大会初出場。緊張のせいか、スタートしてすぐに腰が立ってしまった。無理もない。いつものスピードに乗れないまま、2走のKとのバトンもつまる。Kは追い風に乗ってぐいぐいと前に出る。いい走りである。バックストレートの追い風が強すぎて、3走のNはマークを見切るタイミングがかなり難しかったと思うが、去年の全国大会の経験者である2人はうまく息をあわせてきれいにパトンが渡った。
  3走のNも曲走路をするすると前に出る。ぼばトップに近い位置で1年生アンカーのHIにバトンが渡る。HIの背中を他チームのエースランナーがトップギヤで追いつめる。この状況は近畿大会の決勝でも経験済み。HIはあわてることなく自分の走りに集中した。ひとつひとつのレースで確実にHIは成長しているのだ。
  50秒24の記録で3番目にゴール。1着のチームがインターコースで失格したために、後に2着と発表された。記録的にもまずまずである。手堅く準決勝進出を決めた。



○大会2日目。準決勝でのウオーミングアップ場での雰囲気は予選以上に鬼気迫るものがあった。「予選の時と全然違う雰囲気やろ。これが全国大会の準決勝の雰囲気やで。」と1年生のHIに声をかけると静かにうなずいた。この4年間、リレーチームを引き連れて来ていつも思うことであるが、予選はどのチームも郷土を勝ち抜いた誇りも手伝って、のびのびと走り好記録を連発する。しかし、準決勝では3組2着プラス2のきわどい勝負を勝ちぬかなけれぱならないプレッシャーもあるせいか、金縛りにあった状態で着どりを意識するために、記録的には低調になる傾向がある。これまでにも、優勝候補といわれたチームがまさかの準決勝敗退というシーンを何度か見てきた。
  「よし、あと1本HとKの脚合わせをやって終わろう」と指示をした途端に、いきなり大粒の雨が降り出した。あわてて木の下に避難したが、ますます雨足がひどくなる。予定していたアップを中断してアップ場のテントに逃げ込んが、100mほど走っただけで全身ずぷ濡れになってしまった。置いていたかぱんや着替え、シューズも水びたし。このような天候になるという予報もなかったので慌てた。サブトラックから競技場の雨天練習場まで折りたたみの傘をさしていても意味がなく、Kの傘の骨が折れてしまうほどだ。
  やがて雷が鳴り出し、競技が中断するアナウンスが流れる。天は大きな試練を与えた。せっか<アップで作った体は冷え切り、準決勝前の緊張の糸が切れそうになる。降りしきる雨。雨天練習場横の排水溝からは水があふれ出している。薄暗い雨天練習場の中で女子の24のリレーチームは決勝進出をかけて、必死で調整練習を続けている。どんな状況でも集中力を切らさず、夢の頂点に向かってペストを尽<しているのだ。また大きな雷が鳴った。まさに風雲急を告げる準決勝となった。      
 競技は1時間15分遅れで再開した。3000mの壮絶なまでの決勝レースが終わって、まだ余韻も醒めやらぬ中、この日の最終種目リレーの準決勝が始まった。その2組。「6レーンは東雲。大阪。そのオーダーはHさん、Kさん、Nさん、HIさん、6レーンは東雲」のアナウンス。大阪のベンチから大きな拍手が起こる。2レーンに近畿チャンピオンの兵庫宝殿中。5レーンは2年連続日本一を狙う優勝候補の三重成徳中。そして、予選で先着された鹿児島帖佐中。さらに、予選から宝殿を破る4953の記録を出し、好調が伝えられる福岡の羽犬塚中。この組もそうそうたる顔ぶれである。「位置について」のコールにスタジアム全体が息を呑む。この準決勝を突破するために、この1年間がんぱってきたのだという思いがいっぱいになって、思わず両手を合わせていた。静寂を突き破る号砲が鳴った。
  スタジアム中に大きな歓声が巻きおこる。Hは腕を強く振り懸命に走る。予選の時よりもはるかにいい走り。しかも、2走のKへのバトンパスもきれいに流れた。思わず、「よっしや−」の声。心の中でガッツポーズをした。Kは了レーンの帖佐中に追いつく走りで、5レーンの成徳中のエースにもひけをとらない見事な走り。Kはパトンを持つと、走りが極端によくなる不思議な選手である。3走のNにバトンが渡る。小柄な体であるが大き<てきれいなフォームで走り抜ける。いつもここから独走状態になる場面はよ<見てきたのだが、今回はむずかしい。でも、スタンドから見ても2番手で走っているのがよくわかった。
  このままHIが走り抜ければ、悲願の決勝進出を果たせる。そう思った瞬間、HIがわずかに早くスタートを切ってしまった。その上、パトンがツータッチになってしまった。決してバトンが止まってしまったわけではないが、全国の強豪チームのアンカーはこの小さなミスに容赦な<、HIに襲いかかった。HIも懸命にギヤをトップに入れ替えるが、フィニッシュライン手前で3人のランナーにかわされてしまった。5着。50秒了9.近畿チャンピオンの宝殿中は100分の2秒差でゴール手前で先着を許すことになった。近畿勢はこの準決勝ですべて敗退することが決まった。自分の頭の中も真っ白になった。バックスタンドにきれいにたなび<、「夢輝け!大阪東雲中学校陸上競技部」の横断幕がかすんで見えた。



○ ベンチに帰ると、メンパーは泣いていた。また、夢実現はならなかった。確かに、去年のチームよりもしっかりと準決勝を戦い抜けたという点は評価できる。でも競技は非情なまでに結果がすべてである。自分自身も4度目の正直という思いで臨んだ今大会であるが、またもや現実に跳ね返された。「まだまだ、おまえは甘い。しっかり陸上競技に精進しなさい。」ときっと陸上の神様が教えてくれたのだと思う。帰りのタクシーでもしぱらく涙は続いていたが、やがて前を向き「来年も絶対全国に来る!」と2年生のHがきっぱりと言う。2年生のNや1年生のHIも大きくうなずく。リレーで大阪3連覇することは簡単なことではない。きっと大きな試練の連続でしょう。とてつもない挫折感を味わうこともあるでしょう。でも、夢を持ち最後まであきらめない努力こそが、そのけわしい道のりを切りひら<唯一の手段であることを、3年生のKとNが身を持って証明したはずだ。「夢はあきらめなければ続く。どこまでも‥・。」いつの
日か必ず実現したい。リレーと駅伝の日本−。そして、もう一度日本一の選手を育てたい。



○ 「今日の消灯は11時でいいよ。まわりの部屋に迷惑にならないように話をしててもいいから」と言ったのに、次の日に間<とみんな9時半過ぎには寝てしまったという。この2日間の緊張で疲労感が倍増したのでしょう。大会最終日は、朝からスタンドで大阪チームの応援に徹した。この3日目は4種目で日本中学新記録が出るなど、見応えのある競技パフォーマンスに目を丸<した。この3泊4日間の旅があっという間に終わってしまった。いつも思うことだが、「旅の終わりは新たなる旅の始まりでもある」のだ。来年の全国の大舞台は宮城県の仙台。そして再来年が新潟。東雲のユニフォームがこれからも全国各地で輝くことを念じてやまない。



○ 今回の東雲中陸上競技部の全国大会出場に際して、多くのご支援、ご声援をいただきました。この紙面を借りてお礼を申し上げます。これからも、「ひとりひとりがそれぞれの目標に向かってがんぱる部活動」を目指し、ひいては子どもたちが精神的にも大きく、たくましく成長できることを願って精進していきたいと思っております。これからもよろしくお顧いいたします。

                     東雲中学校陸上競技部顧問一同