第59回近畿中学校駅伝(12/5 和歌山県紀美野町)



RESULTS

<女子>上段は区間記録と区間順位、下段は通過記録と通過順位 出場30チーム

 

1区(3q)

2区(2q)

3区(2q)

4区(2q)

5区(3q)

12q

東 雲

川添

前田

冨賀見

大島

田中

 

43分26秒

   14位

10:5026

 6:55

7:1413

 7:3016

10:5716

 

17:4517

24:5914

32:2915

43:2614

<総合順位> 

1位 安室(兵庫)41分18秒 2位 加古川山手(兵庫)41分22秒 3位 大久保(兵庫)41分27秒

4位 加茂川(京都)41分43秒 5位 今津(滋賀)42分00秒 6位 浜寺南(大阪)42分02秒

7位 鳴尾(兵庫)42分16秒 8位 広野(京都)42分23秒 

9位 北池田(大阪)42分25秒 12位 富田林藤陽(大阪)42分45秒 14位 東雲(大阪)43分26秒

20位 孔舎衙(大阪)44分14秒

 

1年生前田 9人をごぼう抜きの快走!
       チームとしては無念の14位!!

 12月5日(日)朝5時30分に起床。6時15分に朝食の予定。前日のミーティングで、「何でもチームとしての行動が遅すぎる。いつでも5分前行動を心がけなさい。」と注意を受けたこともあって、6時10分に朝食会場に着くとすでに全員が揃っていて、ごはんやお茶、味噌汁などの配膳が完了していた。食事をするときは、「いただきます」「ごちそうさま」のときの当番が決まっていて、今回は田中が当番であった。「今日はいよいよ大会本番です。しっかり食べて悔いの残らないレースをしましょう。手を合わせてください。」「いただきます。」と全員の声。この遠征に参加したのは3年生2人、2年生4人、1年生3人の計9名であるが、女子の中長パートは学年に関係なく本当に仲がいい。肉食系?の女子リレーメンバーとは違って??(失礼!)、女子の駅伝メンバーはどちらかと言うと、草食系???で、反芻(はんすう)しながら食べているじゃないかと思ってしまうくらい、ゆっくりと楽しそうに食事をすすめる。前日の夕食のときは、どこのチームよりも時間をかけて1時間以上も食べていたくらいです。

他校の先生に出会っても元気よくあいさつができないことが、前々日のミーティングでも指摘を受けた。金曜日の午後から和歌山入りしていたが、そんな当たり前の課題もひとつひとつ解消していきながら、チームが駅伝チームとして成熟していく。遠征や合宿というのは、そういう点においても大きな意味があるのだ。朝から早い目の行動ができて、7時過ぎには駐車場に集合。7時10分過ぎに宿舎を出て2台の車に分乗。7時45分頃に会場である紀美野町の農村総合センターに到着した。白いもやが立ちこめていて、寒い朝となった。横断幕をいれるバッグを昨日から置いていたのだが、そのバッグが白く凍っていたのにはびっくりした。

 現地入りして、選手とともにもう一度コースの下見をした。1区は美里バイパスの交差点のところがスタート地点になる。このバイパス沿いにややカーブを描きながら北西に進んでいく。そこからダラダラと上りが続き、美里中学校近くの交差点の手前では急な坂道をのぼり、交差点を過ぎるとまた下りになり、そこから300mほどで2区の折り返しになる。3q区間の1区と5区の選手はさらに500m後方で折り返すことになるのだが、また急な上り坂が200m以上に渡って続きまた下って折り返すのだ。かなりタフなコースになる。「往路のときの200m以上に渡ってつづく上り坂を、力まかせに走って体力を消耗すると後半は失速して走れなくなってしまうよ。アップダウンが続く坂はすべて走りのアクセントと思って、リズムよくこ気味のいいピッチで坂道を上りなさい。」とアドバイスした。

これまでに、金曜日にウォークで1回、ジョッグで2回、土曜日にジョッグで2回、そして当日もウォークで1回、計6回も下見をしていることになる。コースのアップダウンやカーブの形状はすべてインプットされているはずだ。「通常の記録よりも15秒くらい悪くなるコース」と、地元和歌山の先生が言っていた。コースをチェックするたびに緊張感が増していくような気がした。この3km区間を走る川添と田中は言葉少なで歩いている。迫り来る緊張感を集中力に変えて、いよいよ戦闘モードに入っているのだと思った。

 9時過ぎになると、応援に駆けつけて下さった保護者が到着する。他校ももちろん例外ではなく、農村総合センターの前はたくさんの応援の人でごったがえし始めた。各校の色とりどりの幟(のぼり)が誇らしげにあちこちではためいている。東雲のブルーの幟もきれいである。Tシャツやトレーナー、携帯ストラップ(参加校の名前入りもありました!『ALL KINKI 大阪 茨木市立東雲 EKIDEN』の商品買ってしまいました!)などの記念品売り場や土産売り場のブースにも人だかりができて、いよいよ駅伝決戦ムードが盛り上がってきた。

中継場となる野球場には第1区走者のウォーミングアップ場が特設されていて、花の1区の選手30名が黙々とウォーミングアップをおこなっている。その中に、東雲のブルーのベンチコートを着た川添もいつになく張り詰めた表情である。この独特の雰囲気に緊張しない選手はいないのだ。やがて、最終コールが始まった。テント下で役員にゼッケンとたすきの確認してもらう川添の姿を確認しながら、先にスタート地点に向かった。(1区の走者はこのグランドで最終コールを受けた後に、役員に誘導されてスタート地点に向かうことになるのだ。)


スタート前の橋のところでは数々の幟(のぼり)と、応援の人でごったがえしになっていた。川添のスタート位置は前日の学校受付のときの抽選ですでに決定していた。日頃の行いの良さか、顧問の黄金の右腕は7番のくじを引いた。30チームが横10人、縦3列に並ぶことになるのだが、7番は最前列のやや外側の最高のポジションとなる。スタートの迫力を見たかったが、あまりの人の多さで視界が悪くあきらめた。そのスタート地点から折り返し点の方に向かって歩くが延々と人垣が続いていく。こんな条件で駅伝ができる今の中学生は幸せ者だと思った。

kmの折り返し付近で川添を応援することにした。やがて「第1区の走者が、今スタートをきりました。」と、町内放送で速報が入る。5分過ぎ、沿道の向こうから大歓声が聞こえてくる。歓声を引き連れるように、先導バイクの姿が浮かび上がってきた。

    

 先頭は安室(兵庫)。独走である。すごい走りに感嘆した。(彼女はこの起伏のある3kmのコースをただひとり10分を切る9分57秒の区間賞で走っている。)その後に集団があって、少しの距離を空けながら数人の選手が続いていく。川添の姿を必死で探すが見つからない。23〜26位グループに川添の姿をやっと見つける。「川添、リズム、リズム!がんばれ!!こっからノッていくよ!!!」と大きな声で声援を送る。

折り返し手前の上り坂付近で応援に駆けつけて下さった平田中の二ノ倉先生から携帯電話に途中経過の連絡が入る。折り返して来た川添にありったけの声援を送る。いつもの軽やかな走りではない。あとは彼女の気力を祈るのみとなった。結局、川添は10分50秒の区間26位で2区の前田にたすきを渡している。

2区2km区間に起用された1年生の前田は軽快なピッチで中継後すぐの坂道を駆け下りて行く。前にいる走者をターゲットにしてピッチもさえる。坂を登り切った1.5km地点で待ち受けると前田の姿がぐんぐん近づいて来た。ここでも大声援。折り返して帰って来た前田はさらに前の走者をとらえていた。中継手前の坂道を駆け上ってグランドへ。この区間を前田は6分55秒の区間5位で実に9人のごぼう抜き。区間3位までわずか2秒。この2km区間は2〜4区までまったく同じコースで、計90人が走っているが、前田はその90人の中でも7番目の好記録。1年生も21人が走っているが、その中でも一番速いタイムで駆け抜けたことになる。まさにチームを17位に押し上げた殊勲の走りとなった。

 

 3区2km区間は3年生の冨賀見。前を見て懸命に走る。冨賀見が坂道を駆け上がって来た。ここでもありったけの大声援を送る。中盤グループの中にいるので、ひとりで走ることはない。折り返して帰って来た冨賀見も元気である。坂道を駆け下りる冨賀見の姿がみるみる小さくなっていく。ここでも何とか順位を上げていきたい。そんな必死の思いで冨賀見はこの区間で3人を抜く好走を見せた。7分14秒の区間13位の走りでチームの流れを加速させる。

14位でたすきをもらったのが4区の大島。12位の蜂ヶ岡(京都)まで15秒。13位の東輝(京都)まで6秒。すぐ1秒後には15位の下京(京都)がいる。むずかしい展開となる。気持ちはすぐにでも前にいる2校に追いつきたいし、25秒前の富田林藤陽(大阪)にも追いついてしまいたい。そのはやる気持ちを何とかおさえながら、中継してすぐの坂道を冷静に駆け下りていったに違いない。やがて、大島がやって来た。東雲ブルーのはちまきにも汗がにじんでいる。朝はあれだけ寒かったのに、10時くらいから急激に陽射しが強くなり、気温もぐんぐん上昇しているのだ。脱水症状が起こるかもしれないと気になった。5区の田中は1区と同じ最長の3km区間を走る。今すぐに空を飛んで中継所でコールを受けているはずの田中に「気温が上がったから、脱水症状に気をつけろ。こまめに水分補給を心がけなさい。」とアドバイスをしたくなった。こういうところが駅伝はむずかしい。田中が自分で判断してコンディションを整えているはずだと信じこむことにした。やがて、大島が帰ってきた。「いいぞ!いいリズムで走っているよ!!その調子!!」大島は結果的にひとつ順位を下げたものの、7分30秒の区間16位で、アンカーの田中にたすきを渡した。前の野上(和歌山)とは8秒差、後ろの下津第二(和歌山)とは2秒差、9kmを過ぎても僅差の戦いが続く。残りはあと3kmとなっていた。

 

 3km区間になったので場所を移動。1区の川添のときとほぼ同じ位置で田中の姿を待ち受けることにした。先導バイクに連れられて3人の選手が激しくつばぜり合いを演じていた。安室、加古川山手、大久保の兵庫勢の3チーム。あらためて兵庫のレベルの高さに驚嘆した。どの選手も前の4人の汗がしみこんだたすきを胸に気力の走りを見せていた。やがて14〜16位グループに田中が登場。端正なフォームで前を見て走るいつもの姿である。田中に声援を送ったあと、今度はゴール地点に向けて歩き出す。

全長12kmの駅伝もいよいよフィナーレを迎えるのだ。先導バイクのすぐ後ろに兵庫の3チームがまだ競り合いを演じている。沿道ののぼりも徐々にゴール地点に向かっていく。田中がやって来た。ここでもグループは離れていない。最後の最後まで、目を離せない展開となった。あっという間に田中の姿が視界から消えていく。自分もゴール地点に早足で移動した。最後の橋のところでは、すごい人ごみでなかなか前に進むことができなった。前の方に3本の東雲ブルーの3本の幟(のぼり)が見えた。コース上に10本ののぼりと2枚の横断幕がある。選手は計24回『夢輝け!東雲中』の文字を見て、励まされながら走っていたことになる。実際にたすきをにつけて走った選手は夢実現のための代表者ではあったが、ともに汗する仲間やこれまでの歴代の先輩たちの思いもつないだことになる。わずか40数分のあいだに、たくさんのドラマが生まれたに違いない。

 

 ゴール地点に着くと、14位で東雲がゴールしたことを知る。13位の稲美北とは28秒差であるが、15位の下津第二(和歌山)とは1秒差、16位の下京(京都)とは2秒差と僅差。田中がその際どい勝負をモノにしたのだ。東雲の5人の選手は自分の衣服が入った大きなビニール袋を手に持ち、ユニフォームの上にベンチコートを着て話をしていた。川添に「スタート直後で転倒でもしたのかと、心配になったよ。緊張でうまく走れなかったのか?」と聞くと泣き出した。

あらためて、全チームの総合記録一覧表を見てみると、1区のレベルが予想以上に高かったことがわかる。大阪勢でも北池田が区間2位の10分04秒、富田林藤陽が6位の10分13秒、浜寺南が7位の10分13秒、孔舎衙も13位の10分29秒で走っている。3000mのベスト記録10分20秒を持つ川添は10分35秒あたりでまとめたかった。1区で流れに乗れなかったというのは簡単であるが、5区の3km区間を走った田中も3000mのベスト記録10分30秒の記録を持つが、10分57秒で区間16位と精彩を欠いている。選手が大きな舞台で力を発揮できなかったことはすべて顧問の責任である。自分の指導の未熟さをイヤという程、噛みしめた。



エースをつくらなければならない。1500mで夏の全国大会に出場するようなエースを作らなければならないと思った。その一番手が川添である。1500m4分51秒46の記録をあと11秒縮めればいいのだ。簡単ではないことは百も承知しているが、はっきり言って1年前の川添はただの人であった。(彼女が本格的に長距離に取り組んだのがほぼ1年前。12月の第2日曜の茨木三島駅伝ではCチームの5区3kmを走り13分06秒という記録でした。あの頃は、まさか1年後に近畿駅伝の1区を走る選手になるとは思いもしなかった・・・!?失礼!!)その彼女の驚異的な記録の伸びを見れば、まだまだこれからで、大きな可能性を秘めていることがわかる。今回の経験を糧にして、もっともっと大きく飛躍してくれるはずです。もちろん、4分52秒台の記録を持つ前田も、同じく4分55秒台の田中もぜひ夏の全国大会出場を目指して欲しい。

 

 この大会で、近畿大会や全国大会を目指す今年度の東雲の継走がすべて終了した。マニアックな話になるが、今年度の東雲の大阪大会の継走の結果は1年女子リレーが優勝、共通女子リレーが2位、女子駅伝が3位、低学年女子リレーが4位であった。そして、近畿大会に出場した共通女子リレーが8位入賞、女子駅伝が14位。はっきり言って、リレーや駅伝に賭ける有力校の練習レベルやその情熱には、まだまだ追いついていない。駅伝に限って言えば、トラックシーズンよりもロードシーズンに重きをおく学校もある。「すべての種目において、上を目指したい。」という欲張りな性分はどうしようもないのだから仕方ない。自分の夢については決して妥協したくないのだ。

涙が涸れて、悔しさと落胆がひととおり通り過ぎた後に、シートの上で輪になっておいしそうにお弁当をほおばる9人の駅伝選手たち。相変わらず食べるペースはゆっくりだが、中学生らしいさわやかな笑顔である。この選手たちとひとつの目標に向かって精進できる日々を共有できることが、何よりも幸せであると感じた。この時期としては珍しい暖かな陽射しの中で、来年こそは全国中学校駅伝出場の夢を輝かせたいと強く思った。