第59回近畿中学校総体

(8/8・9 和歌山紀三井寺)RESULTS

       100mJH 岡田 萌 14秒99(+0.9)

    <準決勝> 岡田 萌 14秒99(+0.4)

       4×100mR(野村・井上・山元・岡田萌) 50秒71

     <決勝>(野村・井上・山元・岡田萌) 51秒11 8位

    東雲女子リレーチーム近畿ファイナリストに!

 思えば、東雲中学校が近畿大会に初出場したのが6年前の和歌山大会。当時は坂田先生が創部2年目にして女子低学年リレーで大阪大会2位。近畿大会でも4位という好成績を残していた。自分は茨木西最後の年でもあったので、当時の大会の様子を鮮明に覚えている。

 その後、05年、06年、07年と連続して共通リレーが近畿大会に3年連続出場し、今大会でリレーでは5回目の出場。05年、06年には全国大会出場を果たすものの、近畿大会の最高順位は06年の滋賀大会の6位が東雲の最高順位となっている。ハードルでの近畿大会出場は昨年の田中美調に続いて2回目。昨年の美調は準決勝敗退という結果になっている。両種目とも決勝進出がひとつの目安になる。

 大会ランキング表を見ると、女子のリレーは咲くやこの花の49秒00がトップ。東雲の49秒81は6位にランクされるが、7位は49秒82が2チームでここまでがランク8位。つまりは、49秒台のチームが8チームで9番目のチームが50秒00とハイレベルな戦いとなることは必至であった。ハードルでは、兵庫の選手がただひとり13秒台となる13秒92でトップ。その後、8位までが14秒52.9位に岡田萌が14秒76で続く。2年生で全国大会に出場する萌にとっては、全国大会の格好のシミュレーションレースとなる。


大会2日目。朝の5時30分に起床。6時から宿舎近くのコンビニの昼食などの買い出しがてらに散歩。6時30分に朝食。7時20分頃に競技場に到着。大阪のテント設営を手伝ったあとに、7時40分頃にアップ開始。いくつかのアドバイスをしたものの、アップのやり方や足合わせの本数などは、彼女らにまかせることにした。揃(そろ)いで着た大阪の帽子と大阪のTシャツが良く似合うほど、いつしか立派なリレーチームになったことに時の流れを感じた。

10時20分。共通女子4×100mR予選1組開始。7レーンに東雲。記録上位の49秒59の滋賀守山北が2レーン、ほぼ同タイムの49秒82の記録を持つ兵庫学文が3レーン。スターターの「用意!」の声。ピストルが鳴る前に野村の腰が動いて、リコーラーのピストルが連発した。

 野村がフライングをした。初めてのことである。緊張したからではない。第一曲走路近くで砲丸投げがおこなわれていて、投げる前のスタンドからの「はーい!」の声に惑わされたのだ。砲丸投げの審判がスタート前に競技進行を止めるか、別の大きな声が出たとたんにスターターが「立って!」と合図をして、スタートのやり直しをしても良かったのではないかと思った。

 それでも、野村は落ち着いていた。2回目のピストルが鳴ると、ぐんぐん前に出るいつもの走り。2走の井上、3走の山元もいつもどおりの走りを見せるが、さすがは近畿大会。まわりも速い。4走の岡田萌もホームストレートを力走するが3着。50秒71のタイムは、決勝進出には微妙なタイムとなった。3組の予選レースが終わって、結局8番目のタイムで何とか決勝進出を決めた。

 

決勝のスタートリストを確認すると、49秒台の記録を持っていた8チームがそのままリストされていたことに気づく。兵庫が3チーム、滋賀が2チーム、奈良が1チーム。そして、大阪が咲くやこの花と東雲の2チームで合計8チーム。

 決勝に向けてのアップを終えて、第4コーナーのスタンド外側にある選手招集所に向かった。鍛え抜かれた体に、リレーの強豪チームの雰囲気を漂わすユニフォームをまとい、それぞれの選手が輝いている。近畿2府4県のリレーチームの頂点を目指すファイナル8チーム、32人のアスリートの姿がそこにあった。スパイクピンの点検、ゼッケンの確認の時も、役員の指示に場慣れした選手が「はい!」と返事をしてきびきびと動く。最後にアンカーの腰番号の確認。この風景を遠巻きに見ているだけで、選手たちの心地良い緊張感と集中力がビンビンと伝わってくる。やがて選手は競技役員に連れられて、それぞれのスタート地点に向かうことになる。

各チームの団結と信頼の証を確認する儀式がそれぞれのチームにある。もちろん、その絆の向こうにある夢を確認する場でもある。東雲は真っ先に現地に移動する第1走者の野村が笑顔でハイタッチしてまわる。2走の井上、3走の山元、4走の岡田も笑顔である。その姿を目に焼きつけながら、祈るような思いでスタンドに戻ることにした。

 

2時過ぎ頃から降り出した雨が小雨になった。レンガ色のタータントラックが、時折射す太陽光線が鏡のように反射して美しい。15時10分。共通女子4×100mR決勝。この大会のファイナル種目である。「3レーンは東雲、大阪、そのオーダーは・・・・」のアナウンスに「しののめ〜!!」と、大阪選手団から大きな拍手と大声援。スターターのピストルの閃光が光るとわずか50秒足らずではあるが、これまでの熱い思いがこもった各8チーム、総計32名の継走が夢に向かって突き進む。

 「リレーと駅伝は究極の団体スポーツである。」いつも思っていることだが、走っている間は誰も助けてはくれない。それでもバトンやたすきはその情熱や思いを見事につないでいく。つながるごとに、その選手に無形の力を与えていくのだ。自分の役割を果たすことの責任感やチームとしての連帯感がその力を大きくするのだと思うが、決してそれだけではない。昨年までバトンやたすきをつないできた先輩たちの思い、伝統も引き継がれていくのだ。陸上競技は個人競技ではあり、自分の最高のパフォーマンスを目指すチャンピオンスポーツであるが、リレーや駅伝にはきっと終わりがないのだと思う。終わりのないらせん階段を上るように、ひとつのレースが終わってもバトンやたすきは永遠につながれていくのだ。

思い起こせば、昨年の大阪中学選手権で4位に敗れた東雲共通女子リレーチーム。近畿大会出場を逃す残念な順位であるが、1年生の頃の走力からすれば大健闘である。レース後に「来年は2年生の井上が中心になって、きっと全国や近畿を目指すリレーチームを作ってくれるはずだ。」と、涙まじりに声をかけると、当時3年生であった1走の浅野、3走の河野、4走の田中美調の3人も「(今の2年生なら)きっとやれるで。ゆいちゃんがんばりや。」と、2走の井上を笑顔で後押ししていたことを昨日の出来事のように思い出した。

大会5日前に軽い足首のねんざをしてしまった2走の井上から3走の山元へきれいなバトンパス。山元も力強い走りで4走の岡田萌へ。萌は2年生ながらアンカーの大役を引き受けてもらっている。これまでも何度もきびしい場面できちんとバトンを引き継いでくれていたのだ。懸命にホームストレートを走るが、8人のアンカーにのみこまれるようにフィニッシュラインを駆け抜けていった。8位。51秒11。今の東雲の近畿大会での結果のすべてであり、それ以上でもそれ以下でもない。

 

悔しさも涙も、それから力を出し切った爽快感も笑顔も、複雑に入り混じりながら4人が帰って来た。ひとつのレースは終わったが、東雲リレーチームのバトンパスには終わりがない。今回補欠でこの遠征に参加して必死に応援やサポートに徹していた2年生の大泉が、ミーティングのときに涙を流していた。現2年生の力不足は否めないし、険しい道のりになることは百も承知している。それでも、岡田と大泉の2人の萌がバトンを引き継いで、さらに大きく前進してくれるのではないかと期待している。



     岡田萌、14秒台連発も惜しくも準決勝敗退!

岡田萌にとって、覚悟の1日となっていた。リレーの予選、決勝とハードルのラウンドが3本の計5本。炎天下の5本のレースがどれだけきびしいものか容易に想像がつく。朝のウォームアップもリレーの足合わせが終わると、今度はハードルのアプローチ練習に入る慌ただしさである。リレーの予選が終わって決勝進出の報を受けて、11時前に今度は雨天走路で再度アプローチ練習に取り組んだ。

 12時00分。100mJH予選1組。7レーンに萌。3レーンの今大会ランキング1位の兵庫荒牧中の中島選手。全国でもランキング1位で、全中の優勝候補筆頭の選手である。6レーンの京都橋立中の中村選手も14秒32と力のある選手である。15秒を切る選手が4人ときびしい組となる。スタートのピストルが鳴ると、萌が最後に1台目のハードルを越えていたことがわかる。明らかに出遅れているが、そこからぐんぐん加速に乗ってフィニッシュラインを駆け抜けた。14秒99で4位。まずますの記録で準決勝進出を決めた。

レース後に「あれだけ出遅れても、3台目以降は加速に乗ることができるのだ。3台目以降のトップスピードは負けていない、1台目のアプローチがうまくいけば14秒4〜5台が出るよ。今のままでは決勝に進めないし、全中でも予選落ちに終わる。失敗してもいいから、思い切って(アプローチを)勝負してこい。」と声をかけた。昼食をとる間もなく、あわただしくコール場所に移動する萌。自分もあとからコール場所に移動して、氷とゼリー状の補助食品を渡した。

 13時05分開始。100mJH準決勝。2組7レーンに岡田。隣の6レーンには奈良三笠中の山中選手。昨年、2年生ながら夏の全中で2位。秋のジュニアオリンピックでは2年生クラスで優勝と申し分ない実績を誇る。兵庫の荒巻中の中島選手と日本一を争う実力選手である。萌は冬の近畿合宿で面識があるが、ひとつ上の先輩は格が違ったのかも知れない。号砲が鳴って、またもや1台目のアプローチは出遅れてしまったが、隣の山中の鋭いハードリングに乱されたのか軸が安定しない。後半は何とか追い上げたものの、その組の5着。14秒99で準決勝敗退となってしまった。ベンチに帰って「(また、1台目から)出遅れてしまいました。」と涙を流す萌。全国大会まであと10日。近畿の次の日からある鉢伏合宿も含めて、修正していくしかない。今年の勝負は秋のジュニアオリンピック。学年別でおこなわれるこの大会で表彰台に乗ることだ。



ひとまわり大きく成長した選手たち・・・。

 大阪の咲くやこの花中が男子、女子ともに総合優勝を果たした。60年近い近畿大会の歴史の中で、初めての快挙である。閉会式後、東雲のリレーメンバーが「咲くや!おめでとう!!」と、大きな声でその栄光を讃える。

たった1泊2日の和歌山の旅であったが、いろんなことがあった。朝の集合時に松葉杖姿で現れた顧問にどん引きだったことでしょう。(顧問として失格ですね。猛省しています!)電車を降りて、宿舎までの道のり。タクシーに乗って競技場へ移動。緊張した調整練習。声を合わせて「いただきます」した夕食や朝食。部屋での語らい、はやし旅館の温泉も最高だったことでしょう。「たこ焼き食べてがんばろっ!」「ゴーゴーレッツゴー!!・・・」の大阪名物の集団応援。補欠の小坂と大泉もチームのサポートや応援に献身的によくがんばった。大阪の強化部の先生のお手伝いをしながら、また近畿のトップアスリートの競技を見ながら、本当にたくさんのことを学んだのでしょう。選手たちがひとまわり大きく見えたものです。

JRの天王寺駅を降りて地下鉄に乗り換えるときに、あわただしく動く人の波を見て「わっ!大阪って感じがする!!」と、微妙な反応の選手たち。本当は「時間が止まってしまえばいいのにぃ」と感じたくらい、かけがえのない今回の遠征だったのでしょう。「このメンバーでまた遠征に行けたらいいな」という思いでいっぱいになった。阪急の茨木市駅に着いたとき、少々寂しく感じたのは選手たちだけではないのです。心をこめて、ありがとう。