大阪中学校選手権(7/24・25 万博)RESULTS

リレーの東雲 面目躍如、共通女子リレー、

低学年女子リレー 激戦を制してダブル優勝!

3度目のリレー全国大会出場を決める!!

 7月24日(日)午後5時45分。共通女子4×100mリレー決勝。ついに運命の時がやってきたのだ。

その
5分前におこなわれた低学年女子4×100mリレー決勝では51秒79の好記録で東雲が優勝した。アンカーの金子が両手を上げて歓喜のゴールで、湧きあがったのであるが、そのあと競技場全体が異様な雰囲気に包まれていたように感じた。大激戦の勝負が待ち受けていたからだ。

共通女子の準決勝1組は東雲と咲くやこの花が、先の通信大会に続いてしのぎをけずり大接戦。1着東雲49秒85。2着咲くやこの花49秒86とわずか100分の1秒差。続く準決勝2組。1着に入ったのが菫(すみれ)で49秒79。この菫がタイム的には準決勝をトップ通過したことになる。何と準決勝から49秒台が3チームも出るという史上最高レベルの戦いとなったのである。しかも100分の7秒差以内に3チームがひしめくのである。準決勝が終わってから、決勝までの時間はわずか1時間45分。

準決勝を1位通過した東雲女子低学年リレーチームと東雲共通女子共通リレーチーム8人が控える雨天練習上すみに足を運んだ。8人にすぐアイシングの指示。2人1組になって太もも裏からふくらはぎにかけて、それと太ももの前面にも氷の入った袋でマッサージをさせる。8人ともリラックスしている。実はこの1週間極端に練習量を減らして調整している。全国大会出場の切符を取るには、地区大会を勝ち抜き、さらにこの炎天下の本戦で予選、準決勝、決勝の3ラウンドを勝ち抜かなければならない。予選から完璧な走りをすると3本とも高いレベルを走るのはむずかしいと考え、予選は軽すぎるくらいの体に刺激を入れるためのレースと考えていたのだ。低学年チームが予選52秒20、準決勝51秒85、共通チームが予選50秒05、準決勝49秒85とともに筋書きどおりにタイムが上がっている。順調である。これまでの調整法に間違いがないことを確信していた。

それでも僅差の激戦であるので、勝負はどう転ぶかわからない。実は恥ずかしい話であるが、予選レースからみぞおちのあたりがきりきりと痛んで仕方なかったのだ。みぞおちをさすりながら、その痛みに耐えている自分が情けなかった。

まもなく、決勝のスタートリストが発表された。上位4チームが3〜6レーンにシードされることになるのだが、コンピューターが選んだレーンは以下のとおり。準決勝1位通過の菫が5レーン、3位通過の咲くやこの花が3レーン、4位通過の西陵が4レーン、そして2位通過の東雲が6レーンであった。陸上の神様は東雲に幸運をプレゼントしてくれたのだ。本音で言うと6レーンが欲しかったのだ。外側の6レーンであれば、咲くやこの花、菫、西陵の強豪3チームの走りを3走の終わりまでほとんど姿をみることなく走ることができる。つまりは自分のレーンだけを見て走るのでいつも以上に集中して走れるメリットが生まれるのだ。選手たちも咲くやこの花が東雲より外側のレーンのときのレースはいつも余分な力が入っていて、自分たちの走りができていないことをよく知っている。これまでのレースを何度もビデオで見て検証してきたので、イメージはしっかりできているのだ。

「最終コールを始めます!」競技者係の審判の乾いた声が薄暗い雨天練習場に響く。西側の8つのベンチに低学年リレーの8チームが、東側の8つのベンチに共通リレーの8チームがそれぞれオーダー順に4人ずつ座る。ユニフォーム姿になりゼッケンの確認、第4走者の腰番号の確認、それからスパイクピンの点検がおこなわれる。実はこの最終コールの場面から現地に行くまでの動きをこの1週間何度もシミュレーションしてきたのだ。ブルーのセパレートのユニフォームを着た東雲の選手たちは、力強く「はい」と返事をして、胸のゼッケンを見せてから、体を反転させて背中についたゼッケンを見せる。スパイクピンの点検のときも「お願いします。」のひと声で手際良い。すべてイメージどおりである。「それでは、各走者それぞれ現地に移動してください。」の審判の声。4人の選手は招集場所のすぐ外側で、打ち合わせどおりに円陣を作って、「大阪中学新記録で勝って、絶対に全国へ行くぞ!」「オー!!」の掛け声のあとに、笑顔でハイタッチをして別れて行った。

 音楽が流れて運命のときがついにやって来た。「まれに見るレベルの高い激戦が予想されます。共通女子4×100mリレー決勝です。このレースで優勝したチームが全国大会へ。3位までのチームが近畿大会に出場することができます。それでは出場チームを紹介します。第1レーン石切中学。そのオーダーは〜」と、アナウンサー。自分はじっとしていることができなくて、アナウンサーボックス前を檻(おり)に入れられた熊のようにウロウロしている。メインスタンドでは東雲の選手たちが総立ちで見守っている。「第6レーン。東雲中学!」の声で大きな拍手。名前を呼ばれた順に立石が岡田が大泉が西尾がそれぞれのコーナーで右手をあげて一礼する。

 ON YOUR MARKS」の声で場内が静まり返る。クラウチングスタートの姿勢をとった立石の背中を祈るような思いで見守る。「SET」低い声のあとに運命のピストルが鳴った。1回できれいなスタート。立石が猛ダッシュを見せた。スタンドからは「夢輝け!東雲中学!!しののめブルーの超特急!!! 行け行けまーきっ!!!」と東雲ベンチから大声援。50mを過ぎてもぐんぐん加速しているように見えた。この立石の走りを見て、勝利を予感した。真っ先にバトンが岡田萌に渡る。岡田も大きなストライドでバックストレートを爆走する。第2走者は各チームのエースがそろうむずかしいところ。200mの大阪中学記録保持者の菫の木村、西陵の木本、咲くやこの花の佐藤が容赦なく岡田におそいかかるが、岡田は自分の走りを崩さない。やや3走へのバトンパスが間延びしたものの、大泉萌が力強くバトンを受け取った。萌やんは持ち前のピッチで第2曲走路を駆け抜ける。接戦である。西陵の3走の森下も接近。咲くやこの花の池田も夢に向かって意地の走り。ほぼこの3チームが同時にバトンをもらう。ここで勝利の予感が確信に代わった。第4走者の西尾にはこの展開になることを何度もイメージさせている。「4チームのアンカーで1番速いのが西尾だよ。後半、かならずぐんと前に出ることができるはず。むずかしく考えないで、48秒台が出たときのような走りをすればいいんだよ。」と、前日もビデオを見たあとに念押しもしている。その言葉どおり、西尾は60m過ぎたあたりからぐんぐん前に出て、真っ先にフィニッシュラインを駆け抜けて行った。1位 東雲49秒57.2位 咲くやこの花49秒89 3位 西陵がチーム新の49秒93。そして菫が4位で50秒12.この数字が紙一重の勝負であったことを冷徹に示している。

東雲の低学年リレーチームがゴール付近に歓声をあげて走り寄って来た。優勝して近畿大会出場を決めたものの、この勝負が終わるまでは身を潜めていたようだ。一番ひょうきんな性格?の西尾が泣いている。1走の立石も泣いている。3年生の2人の萌は第2コーナー付近で勝利を噛みしめているのか、目に涙を溜めているもの穏やかな表情った。泣き崩れる他チームの選手たち。ほんのわずかの差で勝者と敗者に分かれてしまうのだから、スポーツは冷酷である。

 感動の表彰式。スタンド最前列に東雲関係者が集まってフラッシュの嵐。優勝楯と賞状をもらうために、低学年では福島と金子が、共通では岡田と大泉の2人の萌が代表で一番てっぺんに立って満面の笑み。最後は8人がそろって記念写真。大阪中学で初めての本格的セパレートユニフォームが、これ以上ない輝きをここ一番で見せた。女子リレー2種目での優勝は素晴らしい快挙で、「リレーの東雲」に、また輝かしい歴史の1ページが加えられたと実感した。 

 夢を賭けて勝負した。どうしても欲しかった全国大会リレーの切符。東雲では05年、06年以来、3度目の全国大会リレーの出場となる。今回は低学年リレーの優勝も狙った上での共通リレーの優勝ということでその喜びも格別である。でもよくよく考えてみれば、まだまだ夢の折り返し点に過ぎない。その日のミーティングでも同じことを言った。この言葉の重みを選手たちもよくわかっている。目指すはリレーの日本一。漠然と夢を描いているのではなく、本気でそう思っている。まずは全国大会の決勝に残ること。準決勝突破の壁がどれほど厚いものかは、過去自身4回の経験で痛いほどわかっている。今のチームのベスト記録は48秒84.48秒3台で走る可能性も十分に視野に入れて戦略を練っていきたい。

決してぶざまな戦いはできない。好敵手であり、素晴らしいチームであった咲くやこの花、西陵、菫、石切の選手たちのためにもベストを尽くしたい。まだまだやらねばならないことがたくさんある。共通女子リレーチームの6人と共に、ひとつひとつ課題を解決しながら、精神的にも充実させて、その夢輝く瞬間に備えるつもりだ。

大川、決勝ラウンドの1回目で6m54!

全国大会出場を決めて、さらに大きな夢へ!!

 ある意味、崖っぷちに追いこまれていた選手が大川だったかも知れない。「全国大会に出場することが目標ではなく、全国大会で入賞することが目標である。」と言い切っていた。春先からその言葉どおりに順調に記録を伸ばしていたが、先の通信大会では、予選ラウンド1回目から6m40を跳び、簡単に決勝ラウンド進出を決めて好調ぶりを示したのだが、決勝ラウンドではまわりの選手の出来を気にしすぎて、まったく自分の跳躍ができずにベスト8にも残れず自滅してしまったのだ。

 あれから2週間。彼の心の中は決して穏やかでなかったことは、容易に想像できる。いつも思うことだが、強くなればなるほど背負う十字架も重くなる。好きで始めた陸上でも、レベルが上がれば上がるほどそのプレッシャーが重くのしかかり、平常心でいられなくなる壁にぶちあたるものだ。陸上の神様はとにかくいったんは大川を絶望の淵に追いやった。ただし、あと1回のチャンスを残しながら彼を試していたのかも知れない。

 9時45分開始。男子走り幅跳び予選2組がBピットで開始された。3番目に「242番!」とコールされると、大川は落ち着いて助走を始めた。踏み切り板を強く踏み切ると、大川の体が大きく宙に放たれた。勢いのある着地で砂場の砂が大きく飛び散った。あまりの迫力にスタンドからも、感嘆の声があがったほど。自分は審判中であったが気になって走り寄って耳を澄ませた。計測器をのぞきこんでいた審判が「6m48。予選通過。」と静かに言い切った。自己記録を更新しながらわずか2p足りなかった。「あと2pやのに・・・・。」と、はやる気持ちになった自分を戒めた。どんな状況下でも選手はベストを尽くしている。そんな中で、少しでも早く(標準記録を突破して)楽になりたいと願う自分を恥じたのだ。

 13時15分開始。男子走り幅跳び決勝。予選ラウンドから、およそ3時間あまり。きっと、彼の心の中でもさまざまな葛藤(かっとう)が繰り返されていたことでしょう。決勝ラウンド直前に「ある意味、走り幅跳びほど不公平な種目はない。追い風参考記録であっても記録が上位であれば、正式順位がつく種目。まわりのことを気にしていてはキリがない。自分の跳躍に徹して順位を気にしないこと!」とアドバイスを送ると、彼は瞳を輝かせて力強く返事をした。

 自分はリレーの予選の監察主任にあたっていたために、まったく身動きができない。坂田先生も第1曲走路内側で走り高跳びの審判で、とても大川の跳躍を見ることができない。当たり前のことだが、大川ひとりでこの難局を乗り越えていかなければならない。1回目がファウルになっても、次の助走位置をどうするかも全部自分で考えて判断しなければならない。神 様はやはり彼を試しているのだと思った。

 黄色の旗があがってレシーバーで監察審判とのやりとりが終わった頃に走り幅跳びピット近くのメインスタンドで大きなどよめきと歓声が上がった。右手を高く空に突き上げる大川に「おおかわー!おめでとう!!」の聞き慣れた声がこだました。すぐにそれとわかる一瞬の出来事であった。大川は1回目に6m54の自己記録更新。見事に6m50の全国大会参加標準記録を突破したのだ。

 結局、この1発目の記録がモノを言って大川は2位。近畿大会出場も決めた。ベスト8に残ってから4回目から6回目までの跳躍すべてがファウルであったことが、これからの課題となった。神様はさらに大きな選手になるようにと、またもや 彼に課題を与えて下さったのだ。一般的に全国大会出場は中学生アスリートにとっての大きな夢であるが、彼もまた夢の折り返し点を過ぎたところなのだと思う。勝負は8月22日。奈良県鴻ノ池陸上競技場である。 

キャプテン 岡田萌、無敗の安定感!

トラック総合優勝に花を添える!!

 大会2日目は午後になって風向きが変わった。そこで14時15分開始女子100m決勝、14時30分開始の100mJH決勝の2レースがバックストレートでのレースとなった。4レーンに岡田萌。先の100m決勝は思惑どおりに追い風1.9mの恩恵を受けていたのに、今はおおよそ向かい風になってしまい、いわゆる風を待つ状況になっている。すでに全国切符を手にしている岡田のこのレースの目標は第1に優勝すること。第2に14秒台前半の記録、さらにはジュニアオリンピック参加標準記録の14秒30を視野に入れての自己記録更新となる。

空白の時間のあと、スターターのピストルが鳴った。課題の1台目のアプローチでややロス。8レーンの西陵中の大平が好スタートを切っている。6台目くらいまでほぼ並走。7台目過ぎたあたりからが岡田の真骨頂。ぐんぐんスピードがあがって、真っ先に岡田がフィニッシュ。1位岡田14秒70。2位大平14秒91。向かい風0.2m。咋年、2年生で全国大会に出場、準決勝まで進んだ岡田萌にしてみれば当然の結果になるかも知れない。それでも、大阪で無敗を続けることがどれだけ大変できびしいことか。実は岡田はこの種目で1年生から(同じ学年の選手に)一度も負けていない。大阪のチャンピオンハードラーとして、去年の総体、今年の通信、選手権と君臨し続けているのだ。総合優勝を争うチームにとって、必ず8点を取ってくれる選手ほどありがたいものはない。今大会、残念ながら総合優勝は咲くやこの花に9点差で敗れたが、トラックの部では断トツの33点をゲット。東雲中にとっては2度目のトラック総合優勝を飾ることができました。岡田はレベルの高い近畿大会で表彰台、全国では決勝に残って限りなくひとつでも上の順位を狙うことが目標となる。さらには、ジュニアオリンピックでもてっぺんを目指している!忙しく気の抜けない、充実した2011年度シーズンとなる。

女子100mファイナリストに2人の東雲

5位西尾、7位山本祐莉 スプリント王国に!

 大阪の中学スプリント最速女王を決める100m決勝。風の影響でバックストレートに勢揃いした選ばれし8人の選手の中に東雲の選手が2名。しかも2年生の西尾と1年生の山本祐莉。これまでの指導歴で、自分のチームの選手が共通100mで決勝に2名残った記憶がないくらい、これはある意味快挙である。最速女王を決めるレースにふさわしく、今シーズンで一番レベルの高い結果となった。8人全員が12秒台。1位の芝谷の川崎と2位の石切の鈴木がそれぞれ12秒46と12秒52で全国大会参加標準記録(12秒55)突破。西尾が5位で12秒71の自己新。山本祐莉が12秒94で7位。1年生の祐莉は先輩たちの走りに固くなっていしまったが、これは無理もないことでしょう。むしろ、とてもいい経験をしたと思う。西尾は伸びやかでダイナミックなストライドが持ち味で後半型の選手、祐莉は接地の技術がうまくピッチも速い、スタートダッシュを得意とする選手。まったく好対象な2人だが、それぞれの長所を伸ばし、来年の千葉全中ではこの100mで全国大会に出場させるというイメージが出来上がりました。もちろん、リレーでも連覇して全国のファイナルへという道筋は絶対に譲れないものです。

それぞれの課題の中に未来がある。

大切なことはどんな時も決してあきらめないこと。

 大会2日目。13時25分女子1500m決勝。この大阪の女子長距離女王を決めるレースにも2人の東雲の選手がいた。3年生の川添と2年生の前田。咋年、近畿中学校駅伝に東雲が出場したときの中心選手である。レース前半から薫英の高松望ムセンビがひとり飛び出して、そのあとの第2集団は混戦となった。川添はその集団を引っ張る積極性を見せたが、2日前の発熱の影響もあり後半失速するかたちになり9位。前田は川添と入れ替わるように後半は第2集団の先頭付近をキープしたが、ラスト300mが伸びきらず4分52秒99で6位にとどまった。総合優勝争いが伯仲する中、咲くやこの花に差をつけるには、この中長種目での得点が不可欠であったが、結局3点に終わってしまったのだ。女子長距離パートは7人。1年生に長距離をする選手がいないのが残念であるが、全国中学校駅伝出場という大きな夢に向かってチャレンジしていたときのように、今こそ夢を再確認。今回の結果をさらなる奮起の材料にして、夏のきびしい暑さの中の練習もがんばりましょう。東雲のお家芸はリレーと駅伝です。バトンとたすきを持てば、力が倍増する。そんな伝統をこれからもどんどん進化させていきましょう。

 総合優勝を狙う東雲にとって、一番痛かったのが女子走り幅跳びの福島がベスト8に残れなかったこと。先の通信大会では3位に入るなど、近畿大会出場も有力視されていただけに、何よりも本人が一番悔しい思いをしたことでしょう。共通男子リレーチームもまさかの準決勝敗退。通信の決勝では44秒台で5位に入賞したが、まだまだ本物の力が身についていないのかも知れない。第3走者の瀬戸が故障を克服して、完全復活する日を待ちたい。女子円盤投げの瀧上は自己新の26m34を投げて決勝進出を果たした。いつも大きな声で明るく元気に練習している彼女の活躍がとても嬉しかったです。最後に準備や片付け、清掃、補助員の仕事をみんなでよく頑張ってくれました。また、チームの応援を盛り上げてくれた3年女子の頑張りを讃えたい。チームにとって、大きな力となりました。ありがとう。