日本の味めぐり~【青森県編】
けの汁
けの汁は、津軽地方に伝わる郷土料理です。
米が貴重だった昔、大根・にんじん・ごぼうなどの野菜や油揚げ、高豆腐などを米に見立て細かく刻んで食べたのが始まりです。
けの汁は「粥の汁(かゆのしる)」が訛って「けのじる」となったとされています。無病息災を願い、小正月(1月15日ころ)に食べます。
また、栄養たっぷりの保存食としても重宝されています。
青森県について
青森県は人口が約130万人。東北地方では、宮城県、福島県に次ぐ人口規模です。
面積は約9,600㎢で全国8位の規模を誇っています。
青森県は、北緯40度12分から同41度33分、東経139度30分から同141度41分の間の本州最北にあり、ニューヨーク、北京、ローマ、マドリードとほぼ同緯度に位置しています。
青森県の気候は、三方が海に囲まれ、県の中央部に位置する奥羽山脈が県内を二分しているなど、海域や地形が複雑なことから、同じ県内でも、地域によって気候が大きく異なります。
中でも、冬季における津軽地方の大雪と、夏季における太平洋側を中心とした偏東風(ヤマセ)が代表的な違いとなっています。
冬は、冷たく湿った空気が奥羽山脈にぶつかり津軽地方に雪を降らせる一方、太平洋側は、奥羽山脈が障壁となって乾燥した晴天の日が多いのが特徴です。
夏は、冷たく湿った偏東風(ヤマセ)のため、太平洋側で低温・多湿の日が多くなります。
季節の移り変わりがはっきりしているので、季節季節の美しい自然を味わうことが出来ます。
2019年の年間での最高気温は35.5℃、最低気温は-8.3℃(青森市)
夏は大阪とあまり変わらない程度の暑さですが、冬は比べものにならないくらい寒いです。
青森の郷土料理は『けの汁』のほかに以下のようなものがあります。
『鱈のじゃっぱ汁』
青森の冬を代表する魚・たらを“じゃっぱ(アラ)”まで使い、大根やにんじんと一緒に煮込み、味噌や塩で味付けした青森の代表的な郷土料理。栄養価が高く、寒い冬に心身ともに温まる津軽の正月料理に欠かせない料理です。昔は、大きな鱈を一匹まるごと買い、年越し料理の一切を調えました。
『いちご煮』
ウニとアワビを使い潮汁に仕立てたお吸い物で、青森県の最南東に位置する階上町の郷土料理。
昔は、階上町の漁家では日常的に食べられていましたが、現在ではハレの日や祝いの席で食べられます。乳白色のスープに沈むウニの姿が、朝霧の中にかすむ野いちごのように見えることからこの名が付けらえたといわれています。
『ひっつみ』
鶏肉、野菜、山菜などの具をたっぷり入れただし汁に小麦粉をこねたものをちぎって入れ煮込んで食べる料理。
地域によっては、貝に蟹を入れたり、生地に長いもを入れるなど、バリエーションが豊富です。かぼちゃや小豆汁で甘口に仕立て、おやつとして食べることもあります。昔は、米がとれないときの代用食として食べられていました。
『ホタテ貝焼き味噌』
大きなホタテの貝殻を鍋代わりにして、だし汁にみそと卵を溶いて煮込む郷土料理。
地域によっては、白身魚やホタテも入れます。津軽では“貝焼(かいや)き味噌”、下北では“みそ貝焼き(かやき)”とも呼ばれています。
昔は、卵が貴重品であったことから、産後や病後などに栄養をつけるために作る特別なものでした。
『八戸せんべい汁』
鶏肉や野菜、きのこなどの具をたっぷり入れただし汁に、南部せんべいを割り入れて煮込んで食べる八戸地方の料理。せんべいは汁専用に作られたもので、煮込むと独特の食感があります。昔は、村の青年たちの集まりや山仕事の時に作って食べた野外料理でしたが、平成18年、ご当地グルメの火付け役となり、飲食店で提供されることも増えました。
青森県の郷土料理は、海の食材を使った食べ物が多いですね。
青森県は、ホタテガイの養殖が盛んであったり、下北半島の最北端の大間町はマグロで有名だったりと、たくさんの海産物があります。茨木小学校から青森へ飛行機と電車を乗り継いで6時間強はかかりますが、是非一度は訪れて本場の青森の郷土料理を堪能したいですね。
参考資料:青森県ホームページ「私たちの青森県」